ユードリナの記録【長野県立大学】

長野県立大学や就活、趣味について

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コワレタ構想~私見~

「コワレタ構想」と題して、長野県立大学の構想段階で起きた数々の出来事をまとめてきた。なるべく個人的な考えは省いて、事実を時系列に整理したつもりである。

ここでは、省いた私見などを書いておきたい。

経営系の学部

初期案に経営系の学部があったのは、やっぱり信州大学の影響だったのか?

委員会には信州大学関係者が多くいた。多くというか、ほとんどが信大OBOGもしくは現職員である。

信州大学と競合しない」が新大学の最優先事項であったとしても、不思議ではない。同大にない学部で、なおかつ公立大学らしい地域貢献ができる学部は経営系だったのだろうか。

まあ委員に信大関係者が多いのは、県内有力者のほとんどが信大OBOG、という地方都市らしい傾向も影響しているだろう。

 

はぶいた話

記事を書くにあたって省いた話がある。三大学新設不認可や長野県の私大の特性についてだ。

 

三大学新設不認可とは、2012年に起きた出来事だ。
大学設置・学校法人審議会という、大学設置についての審議会が「OK!」と結論を出した3つの大学があった。秋田公立美術大、札幌保健医療大、岡崎女子大の三大学である。これに対し、田中文科省大臣が突然「不認可」を表明。過去30年間に例が無い事態だったので、騒動になった。

大学の数の多さや質の低下を理由に挙げていた大臣は、結局三大学の新設を認めた。だが、この騒動で大学の数や質が世間的に話題となり、長野県立大学の新設にも影響したわけだ。

 

長野県の私大の特性とは、自治体と深く連携してきた背景である。
県内私大の多くは、公設民営大学自治体と協力型・県が学校法人をサポートして開学した大学・自治体が誘致した大学などである。

これまで自治体と私大は手を取り合って仲良くやってきたのだ。自治体は私大に地域貢献を頼み、私大もそれに配慮した学費や学科を設定してきた。なのに突然、新県立大学を作るという話が出た。「これまで頑張ってきたのに、私たちじゃダメなの…?」と私大が思ったのも理解できる。

 

国際教養大学の影響

委員会や県議会でしばしば、「秋田の国際教養大学みたいなのを作ってもしょうがない」という文脈で批判がされている。

まあ、国際教養大学の関係者が委員にいるのだ。そりゃ参考にするわな。全寮制や英語プログラムなんかが特に影響を受けていると思われる。

 

署名の効果

新大学への賛否は、いくつかの署名運動へつながった。それらは一体どれだけの効果を及ぼしたのだろうか。

六鈴会の署名が県知事の方針を変えた、という面はあるだろう。なんせ当初は「必要性が高くない」と言っていた管理栄養士課程が結局盛り込まれたのだ。

松本大の反対署名は、結論から見れば効果は無かった。しかし新大学の開学延期や、私大の振興案作成などいくつかの配慮を引き出せた、という点では効果アリと言える。

 

疑問

そもそも、なぜ短大はここまで4年制移行構想を望んでいたのだろうか?

歴史ある組織は総じて変化を好まないイメージがある。ましてや短大から4年制への移行は、OBOGや大学支持者に嫌がられそう、と思ってしまう。

県立大学準備委員会の報告書を読んだが、20年以上も陳情するほどの要素は見えなかった。

www.pref.nagano.lg.jp

 

突然の屈服

あれだけ強固に反対していた松本大が、突然協力姿勢を見せた。これにちょっと策謀の香りを感じるのは、私だけだろうか。

 

考えられるパターン1。長野県が「教育学部」をエサに交渉した。
元々松本大は最後まで抵抗する予定だったが、長野県サイドが「教育学部作るってのはどう?信大と競合するけど、そのへんの調整とかサポートしてあげるよ?」とささやいた。無くはない話だ。

パターン2。松本大の計画通り。
松本大は当初から教育学部を設立したかった。しかし信大や自治体からの反発が予想される。教育実習などの為には、自治体の協力が不可欠だ。そこで、新大学に徹底的に反対したのち、落としどころとして「教育学部新設へのサポート」を引き出す。実に陰謀論チックな話だ。

 

何にしろ、どの私大にしてもある程度得したのだろう。公立化によって志願者数が増加、知名度も上がった。

ただ、地域貢献という点ではマイナスのようだ。志願者増により合格ラインが上昇、県内出身者の割合がどの私大でも減少したとのこと。

 

終わりに

しばらく前から、佐賀県で新大学の議論が起こっている。同県でも賛否両論で、どこかで見たような大揉めになっているようだ。

政治、お金、地域貢献。多くの荒波があるが、現地の高校生たちの充実した青春を壊さないことをまずは願いたい。