ユードリナの記録【長野県立大学】

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【こどもシリーズ第1回】「信州型自然保育」って何だろう?~県大の論文を読んでみる~

こどもシリーズ、始動しました。

このシリーズでは、長野県立大学健康発達学部こども学科の活動を中心に、長野県の子育てや保育士教育について、素人目線で調べてみる予定だ。

第一回は「信州型自然保育」について。こども学科について何を書こうか、とネットの海を彷徨っていたら偶然目にしたワードだ。

信州型って?自然保育って?自分の好奇心を信じて、初回はこのテーマでいく。

 

 

自然保育とは

色々と資料を漁ったが、素人学生の調査程度では明確な定義が見つからなかった。そこで今回は、長野県立大学リポジトリにある論文を参考にしたいと思う。

具体的には、長野県立大学で研究されている前田先生、小笠原先生、加藤先生の論文「野外保育が幼児の発達に与える効果に関する研究の展望と課題ー移動運動と姿勢制御の発達に与える効果を中心にー」である。

長野県立大学リポジトリ

この論文や長野県の「信州型自然保育ガイド」を見るに、自然保育とは自然環境を積極的に活用した保育や幼児教育のこと、と認識すれば間違いではないようだ(100点満点では無いだろう、という自意識もあることを書いておく)。

また、野外保育というワードも自然保育とほぼ同義であると当ブログでは捉えることとする。

 

「自然保育」という単語への疑問

疑問に思ったのは、なぜわざわざ”自然保育”というワードがあるのかだ。私が未就学児であった頃でも、近所の公園や森へ散歩に行くことはあった。10年以上前に既に存在した保育の方針とは何か違うのだろうか。

思うに、自然保育というワードが注目される背景は次の2つではないか。

1つ目は、これまでの日本の保育方針が”囲って守る”ことに特化していたのかもしれない、という想像だ。幼児教育はコミュニケーションや発声が中心で、それらは安全な建物の中のみで行われていれば十分だ、という考え方だ。大切なお子さんを家の外に預けるだけでも不安なのだ、こうした考え方は子どものいない自分でも想像に難くない。

2つ目は、屋外での保育・幼児教育に関する調査研究が十分ではない、という背景だ。先に述べた論文では、野外保育における効果や体系化が十分ではない、という指摘についても触れていた。特定の分野や方法について調査研究するために、以前のそれとの区別を図るため”自然保育”という名称を作った、という想像はどうだろうか。

 

「信州型自然保育」とは

長野県の8割弱が山林である、というデータもある

長野県が発行する「信州型自然保育ガイド」によれば、信州型自然保育とは「信州の豊かな自然環境や地域資源を積極的に活用した、屋外での多様な体験活動を基軸とする保育」のことらしい。長野県では、こうした自然保育を積極的に取り入れた保育活動を認定する制度も2015年より開始している。

 

うーん、”信州型”の部分がどこに影響しているのか気になる。当然”信州の自然を活用する”という点はあるだろう。しかし手法や考え方としての違いは何かあるのだろうか。

 

別の都道府県についてみてみると、広島県では2017年に「ひろしま自然保育認証制度」が開始している。鳥取県では2015年に「とっとり森・里山等自然保育認証制度」が創設されている。

もちろん各認証制度ごとに認証基準などの差異はあるだろう。だが”信州型”と銘打つからには”ベースとなる自然保育が〇〇で”、”それとの差異は△△”というものがあるはずだ。

 

例えば「日本型食生活」といえば昭和50年代の食生活である。ごはんを主食とした、主菜・副菜・適度な乳製品や果物のあるバランスの良い食事だ。これはアメリカや中国、ヨーロッパ圏の食生活をベースとして考えた時に日本らしい特徴がある、という意味での”日本型”だろう。

たかが学生が調べてもここらが限界だった。誰か有識者やこども学科の方がいれば、信州型というワードが意味するものを教えていただきたく思う。

 

自然保育の効果

長野県立大学による論文では、先行研究において野外保育が幼児に大脳機能や身体機能についてプラスの効果があるとされていると述べている。また、野外保育が不整地歩行や障害物の回避、多様な可能性に出会えるという点でもプラスのようだ。

一方で、こうした研究はキャンプ地のような野外保育に特化した場での調査がメインであり、一般的な保育現場での効果検証について十分ではないと指摘している。

 

終わりに

保育園へ通っていた15年ほど前、公園での遊びはとても楽しかった印象がある。落ち葉や石を拾ったり、走り回ったり。ピカピカの泥団子を作るために、「いい土がある」と噂の森まで先生が引率してくださった記憶は今でも残っている。ポケットを石でパンパンにして怒られたこともあった。

しかしそうした自然保育によって生まれる好奇心が、このブログを書く原動力として今なお私に溢れているのは、私にとって一つの誇りである。