大学生ユードリナの記録【長野県立大学】

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LINEじゃない!?なぜ最近の若者は初対面で「まずインスタ交換」なのか【連絡先の交換という儀式】

現役大学生として、これまでに何度も初対面の学生と連絡先を交換する機会があった。そのほとんどは連絡手段としてLINEを登録しあっていたのだが、近年の流行りはどうやら異なるようである。

周囲の学生にきくと、多くが「初対面ではインスタを交換する方が気楽」との回答だった。私個人としての感覚とは些かずれていたため、この謎について考えたい。

 

 

近年若者の連絡先交換は「まずインスタグラム」の傾向アリ

個人的にはまずはLINEを交換したい

あくまで私個人の感覚だが、初対面やあまり親しくない人との「始めの一歩」はLINEでありたいと感じている。インスタグラムを見せた場合、過去の投稿やストーリーといった写真・動画を相手に見られることになる。一方でLINEの場合、会話をしなければ相手に見られるのはアイコンと背景画像、ステータスのみである。

つまりインスタグラムとLINEでは、相手に与える自分自身の情報量が異なるのである。

 

Z世代にとっての連絡手段の位置づけ

Z世代と呼ばれる近年の若者(とは言いつつ私自身Z世代だが)にとって、こうしたSNSの位置づけは少々違うようだ。

初対面でまずはインスタグラムを交換。仲良くなればLINEを。さらに親しくなればBeRealなど、といった段階を踏むのが一般的なようである。

BeRealの「飾らない『今』を共有するSNSである」という特性を考えると、特に親しい友人とつながるツールであるのは理解できる。しかしなぜLINEではなくインスタグラムが、関係性の浅い人とのコミュニケーションツールとして位置づけられているのだろうか。

 

最初のコミュニケーションツールとしてインスタグラムを選ぶ理由

学生への聞き込みなどをしてみたところ、どうやら連絡先を交換した後どうするか?という視点が重要なようだ。

LINEの場合、その役割は「会話」である。画像や動画の共有でも、飾らない今の共有でもなく、文字を打ち込んで会話するのが主目的なSNSである。すなわち初対面の人とLINEを交換した結果、その後直面する可能性のある「親しくない人との緊張と気まずさを伴う会話」をZ世代は忌避するのだろう。インスタグラムと違って1対1のコミュニケーションからスタートする点も忌避されている点だ。

一方インスタグラムの場合、その役割は「画像や動画の共有」である。文字は打ち込まない、もしくは短文や一言。不特定多数のフォロワーに対する文章なので、返信やスタンプといった何らかのリアクションを起こす必要もない。自分が投稿やストーリーといったアクションを起こさない限り、フォロワーからのアクションもほぼゼロなのである。

 

”インスタグラムのDM”という機能の特徴

ご存じのように、インスタグラムにはDM(ダイレクトメッセージ)という機能がある。これは1対1でチャット型のコミュニケーションが取れる機能で、機能的な面でいえばLINEとそう変わりない。

しかし着目すべきはインスタグラムのDMが持つ次の2つの点であろう。

1つ目:前段階が必要ない

1つ目はフォローしているかどうかに関わらずメッセージを送れる、という点である。LINEやXのメッセージ機能は基本的に”フォローする、QRコードやIDの共有”といった前段階が必要である。しかしインスタグラムにおいては一切の関わりが無い相手にメッセージを送れるのである(18歳未満のユーザーに対する制限等は存在するが)。

2つ目:基本的な立ち位置から外れる

2つ目はインスタグラムの基本的立ち位置が「画像や動画の共有」であるという点である。この立ち位置から外れて1対1のチャットをするというのは、画像の共有やLINEでの会話と比べてかなり積極的なコミュニケーションであるといえるだろう。

以上の2点から見えるインスタグラムのDMの特徴とは、『前段階を必要としない安易なものである一方、ツールの基本的な立ち位置から外れたLINE以上の積極的な交流を図れる』ものなのかもしれない。

 

【連絡先の交換】という儀式

かつて黒電話や携帯電話、メールといったものが主流だった頃。電話番号・メールアドレスの交換という手段は、相手と連絡を取るためという目的の為であった。しかしスマートフォンが普及した現在、連絡先の交換という手段は相手と薄く浅い共通点を持つための儀式と化した。
「〇〇君って知ってる?」
「話したことないけどインスタで見たことある!よく料理の写真あげてる人だよね」
という会話はもはや日常茶飯事だ。
インスタグラムの投稿を見て彼氏・彼女の有無を知る、という話もよく聞く。

この現状に賛否を述べるのは避けるが、曖昧さを好むというZ世代の特徴はこうした儀式化からも見えてくるのだと感じる。

 

終わりに

こうして考えてみると、我々Z世代の望むコミュニケーションの仕方が見えてくる気がする。孤独を避けるために誰かとのつながりを求めるが、それを極力緩く浅いものとしたがる。一方で特に親しい関係性については、BeRealなどの強い情報共有をする。いまだに多くの課題を抱える若者のSNS利用について、今後の流行り廃りはどうなるのだろうか。