蒸し暑い夏。
吸い込まれそうな青空、掴めそうな雲。蝉の声にうるさいとも感じなくなり、木漏れ日をあおぐ。
見たこともない神社を幻視し、覚えのないノスタルジーに温まるのは私だけだろうか。
新シリーズ「懐古への案内」は、長野市にある神社を訪ねる企画だ。
有名で巨大な神社は観光地になるが、どこか冷たさもある。一方で、住宅地へ静かにある神社はどこか温かみを感じる。
そんな神社を、一人の学生が温もりを探して巡ってみる。
宇達神社
今回訪れるのは、長野女子高校近くにある「宇達神社」。大学からは徒歩7分で着く。
暑さでぼんやりした頭のまま、入り口を見ていた。
長野女子や長野短大の人、そして工事のおっちゃんに不審そうにチラ見される。
まぁ、誰もいない神社に男子大学生が一人でいたら怪しいわな。
看板の内容
横の看板になにやら書いてある。なになに……
宇達(宇逵)神社
祭神は宇逵神、相殿として健御名方神、八坂斗売神を祭る。創立年代不詳、言い伝えによると大昔この地を開拓された泥土立神(産生神)を祭る産土神が訛って宇逵神となったとも言われる。貞観七年(865)朝廷より従四位を授与、明治六年村社となり、現在宇達神社と称する。
春祭五月三日 秋祭十月五日
うぅ~~ん。
みなさんの言いたいことはよくわかる。私にも全くわからん。
しかし好奇心という化物を飼っている身としては、とりあえず調べにゃ気が済まない。
詳しくは後述の「用語を調べる」へ。
散策してみる
境内は結構広く、木々に囲まれて非常に心地よい。
道祖神の石もあった。
時々、歩道の脇に石碑や石像を見かけないだろうか。それが道祖神だ。
村の守り神、交通安全の神として信仰されている。
興味深かったのは、境内に遊具があったことだ。私の地元、神奈川では境内に遊具がある神社を見かけなかった。
きっと、遊ぶ子供たちを見守ってくれる優しい神様がいるのだろう。
用語を調べる
看板の内容が知りたい。こうなりゃやけくそだ。徹底的にいこうじゃないか。
祭神
その神社に祭ってある神。
相殿(あいどの)
同じ社殿に2柱以上の神を合わせて祭る事。
健御名方神(タケミナカタ)
オオクニヌシの御子神。出雲の国譲りのときに、武の神タケミカヅチによって諏訪へ封じられた。強い武を示す神として、敗北した神でありながらも日本三軍神に入る。武田信玄など武将にも崇敬された。
八坂斗売神(やさかとめのかみ)
神道の女神。水、農業、温泉、国造りの神。タケミナカタの妻で、各地の諏訪神社などに夫と祭られている。
泥土立神(にとのたち・かみ)
この地を開拓した神をこのように呼称したそう。
産土神(うぶすながみ、うぶのかみ)
神道において、ある人が生まれた土地の守護神をいう。その人を生まれる前から死んだ後まで守る神とされる。他所へ移住しても守ってくれると信じられている。産土神への信仰を産土信仰という。
従四位
神階の一つ。かつて日本では、位階という序列制度があった。奈良時代?から始まった位階制度は神にも与えられたようで、これを神階という。
村社(そんしゃ)
社格制度という神社の序列制度の一つ。
終わりに
ソルティライチを片手に神社を散策した。日差しが強い日だったが、木漏れ日に入ると心が癒された。
用語を調べる中で、自分が日本の神話を全く知らない、という事実に直面した。
ちょっと深すぎる世界に片足を突っ込んでしまった感はあるが、これからも巡ってみようと思う。